Printing-NIKKORによるマクロ撮影(等倍撮影テスト)
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Posted: 8 Sept. 2023
Printing-NIKKOR 95mm F2.8の等倍撮影テスト
オプチカルプリントやラインセンサ用に使用される極めて高性能なレンズであるPrinting-NIKKOR(プリンティングニッコール)を用いて簡単な等倍撮影テストを実施してみました.
また,写真撮影用マクロレンズ「AF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8 G ED」や,引き伸しレンズ「EL-Nikkor 80mm f5.6N」との比較も行いました.
テストの方法
- カメラはNikon Z 6(フルサイズセンサー)を使用しています.
- サンプルは一万円札としていますが,単写ではピントを全面に合わせることが困難なので,ピントを微小に変化させながら10枚撮影し,深度合成を実施しています.
- 深度合成にはAffinity Photoを使用し,合成後の画像調整は実施せず,品質50のjpgにて保存しています.
- 照明はいずれの場合も同じにしていますが,ワーキングディスタンスがレンズごとに異なるため,光の回り方には若干差が出ます.
- AF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8 G EDは実効F値5.6に設定しています(ニコンの場合,カメラに表示されるF値は「公称F値」ではなく「実効F値」になります).
- EL-Nikkor 80mm f5.6Nは絞り開放(公称F値5.6)に設定しています.
- EL-Nikkor 80mm f5.6Nは逆付けにて使用しています.
- Printing-NIKKOR 95mmは前期(無印)型・後期(A)型とも公称F値4に設定しています.
等倍撮影テストの結果比較
Printing-NIKKOR 95mm F2.8の基準倍率は順付けで1/2倍,逆付けで2倍なので,等倍撮影はそもそも適正使用範囲外です.等倍ならPrinting-NIKKOR 105mm F2.8を使用すべきですが,95mmでの等倍撮影も不可能ではなく,またその結果には誰もが興味あるところだと思うので,敢えてテストを実施してみました.
同時にAF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8 G EDとEL-Nikkor 80mm f5.6Nによる撮影も行い比較してみました(DiMAGE Scan Elite 5400 Scanner Lensは手持ちの機材ではちょうど等倍にすることができず,また,等倍付近ではそもそも4隅がぼけてしまうことからテストには使用しませんでした).
Printing-NIKKOR 95mm F2.8 前期(無印)型
Printing-NIKKOR 95mm F2.8 前期(無印)型 順付け
Printing-NIKKOR 95mm F2.8 前期(無印)型 逆付け
Printing-NIKKOR 95mm F2.8 後期(A)型
Printing-NIKKOR 95mm F2.8 後期(A)型 順付け
Printing-NIKKOR 95mm F2.8 後期(A)型 逆付け
AF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8 G ED
AF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8 G ED
EL-Nikkor 80mm f5.6N
EL-Nikkor 80mm f5.6N 逆付け
中央部と端部の比較
全体像では差異がわかりにくいので中央部(center)と端部(corner)を切り出して一覧表示してみました.
中央部(center)と端部(corner)の切り出し位置
中央部(center)一覧表示
端部(corner)一覧表示
等倍撮影テスト結果まとめ
- いずれのレンズとも中央部から端部まできれいに描写できています.周辺画質落ちは感じません.
- AF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8 G EDの描写力が高く,Printing-NIKKOR(A)と同程度に感じました(これは逆に,Printing-NIKKOR(A)は適正使用範囲外である等倍においてもAF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8 G ED並の描写力を維持している,と言えるかもしれません).
- EL-Nikkor 80mm f5.6Nは明らかにPrinting-NIKKORやAF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8 G EDに及んでいません.
- Printing-NIKKORは前期(無印)型・後期(A)型とも,等倍では順付け/逆付けにによる画質の差はほとんどないようです.
- 前期(無印)型と後期(A)型では,後期(A)型の方がやや画質が良いように感じます.ただし,使用した前期(無印)型はレンズの状態があまりよくない(カビの混入あり)ことが原因かもしれません.
感覚的には画質の良い順に「Printing-NIKKOR(A) ≒ AF-S Micro NIKKOR > Printing-NIKKOR(無印) > EL-Nikkor」という印象です.
等倍付近の標本撮影にはこれまでは主にEL-Nikkor 80mm f5.6Nを使用してきましたが,これからはPrinting-NIKKOR 95mm F2.8Aを使おうと思います.また今回改めてAF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8 G EDの描写力の高さを実感しました.