TOP > 雑記 > Printing-NIKKORによるマクロ撮影(カメラへのマウント)
Posted: 3 Sept. 2023
Printing-NIKKOR(プリンティングニッコール)はニコンの産業用レンズで,オプチカルプリントやラインセンサ用に使用される極めて高性能なレンズです.
焦点距離には75mm,95mm,105mm,150mmがあり,マクロ撮影用としては基準倍率1倍の105mmと,基準倍率1/2倍の95mmがよく使われます.Printing-NIKKORにはいくつかの世代があり,現在は「Rayfact」(ニコンの産業用レンズブランド)となっています.
今回95mmの前期(無印)型と後期(A)型を入手したので,マクロ撮影用に使用してみました.
ニコンの資料によると,Printing-NIKKOR 95mm F2.8は基準倍率1/2倍で,リバースにより基準倍率2倍で使用可能となっています.ただしこれは後期(A)型に関する記述であり,前期(無印)型については,リバースにより基準倍率2倍という記述を確認できていません(実際的には十分使用可能です).
前期(無印)型と後期(A)型ではレンズの外形寸法が異なっており,後期(A)型の方が太く長くなっています.またレンズ構成も前期(無印)型は4群12枚,後期(A)型は6群14枚(+保護ガラス)となっています.Printing-NIKKOR 95mm F2.8の詳細についてはClose-up Photographyに詳しく解説されています.
Printing-NIKKORは産業用レンズであり,Fマウントではないため,カメラへ取付けるためにはアダプタが必要です.Printing-NIKKOR 95mm F2.8には45mm径(P0.75)のネジが切ってあります.また,レンズ先端のリングを外すと,ここにも45mm径(P0.75)のネジがあります.ネジは前期型・後期型とも共通です.またPrinting-NIKKOR 105mm F2.8の場合も同じです.
この45mm径のネジを52mm径に変換できれば接写リングやBR2A(またはBR2)を取付けることができるので,カメラへの接続が可能となります.しかし,この変換用アダプタが一般的ではないため,海外から入手する必要があります.RafCameraからこのアダプタが販売されていますが,類似品のアダプタも存在しています.Printing-NIKKORを入手する際にはこの変換アダプタの調達に手間取るので注意が必要です.
この変換アダプタを介し,Fマウント化するのですが,このときニコン接写リング(Kリング)がよく使用されます.
KリングはK1からK5の5種類で構成されており,52mmネジ(オス/メス)とFマウント(オス/メス)を組み合わせることができます.K4リングまたはK5リングとBR2A(52mmネジ→Fマウント変換アダプタ)があれば,Printing-NIKKORをFマウント化することができます.
※Kリングのみの組み合わせでもFマウント化できますが,接続点数が増えるので,ここではK4,5リングとBR2Aの組み合わせにしました.
前期(無印)型の場合は,K4リングまたはK5リングのどちらでもFマウント化できます.
ただし,K4リングの場合はレンズ後端がぎりぎりになります.
K5リングはK4リングより長いため納まりがよくなります.
私の場合はベローズでの使用が前提なので,K4でもK5でも,あるいはM45→M52変換アダプタに直接BR2Aを接続してもあまり関係ないのですが,カメラに直接マウントする場合は長さをよく検討する必要があります.
後期(A)型の場合も同じ手順でFマウント化できますが,後期(A)型はK4リングとK5リングの両方が必要です.これは,後期(A)型はレンズが太いため,BR2Aにレンズを通すことができないからです.
これでベローズに取付け(順付け)可能となります.
Printing-NIKKOR 95mm F2.8先端のリングを外すと45mm径(P0.75)のネジがあります.
リバースの場合は,前期(無印)型・後期(A)型とも,レンズ先端にM45→M52変換アダプタとBR2Aを接続するだけです.
Printing-NIKKOR 95mm F2.8は焦点距離が比較的長いため,ワーキングディスタンスを長くとることができます.変換アダプタさえ入手できればFマウント化も難しくありません.基準倍率が1/2倍と2倍というのも標本撮影にはうってつけです.