Posted: 9 May 2020
Update: 30 Dec. 2023
UPDATE 30 Dec. 2023
その後,Nikon Z7を導入したので,Z6は使わなくなりました.またベローズやWeMacroを使用するようになったので,フォーカスシフト撮影も行わなくなりました.以下は過去の情報です.
撮影用カメラにはNikon Z6を使用しています.Z6は2450万画素であり,同時期に発売されたZ7(4575万画素)に比べると画素数は劣りますが,高感度に強い特性があります.また,画素数が少ないほうが小絞りボケの影響を受けにくくなります.
撮影用レンズはAF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8 G EDです.AF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8 G EDはNikon Fマウント用のレンズなので,FTZ(Fマウント用レンズをZマウントで使用するためのアダプター)を介して接続しています.FTZはFマウント用AF-Sレンズ接続時にはAFが使用できます.標本撮影時にはAFは必要ないのでは?と思われるかもしれませんが,深度合成を行うためにはAFが駆動することが重要なのです.
カメラとレンズは三脚に固定して撮影しますが,このとき,自由雲台上にNikonユニバーサルブラケットUBKを挟んでいます(実際にはユニバーサルブラケットUBKを分解して一部部品を使用).これを介することで,三脚を動かすことなくカメラを前進・後進させることができるので,マクロ撮影時には非常に便利です.ただし,ユニバーサルブラケットUBKは元々デジスコーピング用のアクセサリーであり,マクロ撮影用ではありません.実際,カメラ固定時には少しガタつきますし,マクロ撮影時にカメラを前進(後進)させると,フレーミングが少しずれます.
Nikon Z6には,フォーカスシフト撮影機能があります.これは,ピントを一定量ずつ変化させながら連続撮影できる機能です.深度合成を行う際にはとても便利で,この機能がない場合は,カメラまたは標本を撮影の都度微動させる必要があり非常に手間がかかります.フォーカスシフト撮影機能では,撮影枚数とシフト量(ピント移動量)を指定してスタートすれば自動的に連続撮影してくれます.ただし,ピントを自動的にシフトさせるためには,レンズがAFで駆動することが必須です.ですので「AF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8 G ED」や「AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED」であれば問題なく撮影可能ですが,「AI AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8D」や「AI Micro-Nikkor 55mm f/2.8S」ではフォーカスシフト撮影は不可能です.(AI AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8DはFTZを介するとAFが動作しませんし,AI Micro-Nikkor 55mm f/2.8SはそもそもMFレンズです.)
AF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8 G EDは等倍マクロレンズです.多くの昆虫標本はこれで十分撮影することができますが,微小な昆虫だと,等倍マクロでも不十分です.
例えば,体長6mmのツマキアオジョウカイモドキをAF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8 G EDで撮影すると,ここまでしか寄れません.
さらにマクロな写真を得るためにはいくつかの方法があります.
レンズを逆さ向きに装着する方法です.リバースアダプターは一方がカメラ用マウント,もう一方がフィルターネジになっているので,フィルター径さえ合致すれば,レンズマウントの区別なく装着できます.ただし,AFが使用できません.また,絞りリングがないレンズでは絞りの変更もできません.
レンズとマウントの間に挟み込むアダプターで,焦点距離を伸ばすことができます.拡大率はアダプターによって異なります.例えば2倍のテレコンバーターを装着すると,50mmレンズが100mmレンズとして使用できるようになります.アダプターによってはAF駆動も可能です.アダプターにはレンズが入っており,画質に影響を与える可能性があります.テレコンバーターを装着しても最短撮影距離は変わりません.
テレコンバーターと同じくレンズとマウントの間に挟み込むアダプターです.テレコンバーターと異なり,レンズは入っていない「単なる筒」です.アダプターによってはAF駆動も可能です.テレコンバーターよりも安価なので,手軽にマクロ撮影時の倍率を上げることができますが,無限遠のピントは合わなくなります.あくまでも接写専用のアダプターです.
Nikon Z6でのフォーカスシフト撮影を意図した場合,AFで駆動できることが必須となるので,テレコンバーターか接写リングかの2択になりますが,「余計な光学系がないこと」「安価であること」の2点から,接写リングを選択しました.
FTZがあると,接写リングはZマウント用,Fマウント用のいずれでも構わないのですが,将来的な拡張性を考慮するとZマウント用にしたいところです.現在のところZマウント用の接写リングの情報そのものが少なかったのですが,VILTROXのZマウント用接写リング DG-Zを選択してみました.
VILTROX DG-Z にFTZを取り付け,AF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8 G EDを装着した場合,AF駆動や絞り調整ができるか不安がありましたが,両方とも問題ありませんでした.
VILTROX DG-Z は12mmと24mmのリングのセットです.12mm+24mmを装着し,AF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8 G EDで先のツマキアオジョウカイモドキを撮影すると,ここまで寄れるようになりました.
フォーカスシフト撮影も問題なく可能で,撮影後の写真にはExif情報もしっかり残っています.
Zマウント用の接写リングはKenkoにもありますが,こちらは10mm+16mmなのでVILTROX DG-Zほど寄ることができません.私の使用方法の場合,この接写リングの選択は正解でした.