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-The Focus Stacking Photograph of Insects-

深度合成(Focus stacking)

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Posted: 18 Mar. 2020
Modified: 9 July 2023

画質と被写界深度の両立


被写界深度と絞りの項目の通り,絞り値を大きくすると,ピント範囲(被写界深度)を広く取れるのと同時に画質が低下します.また,マクロ領域の撮影では,絞りを限界まで絞っても被写界深度が不足することがあります.

そこで,同一の標本を同一のアングルでピントのみを少しずつ移動させながら撮影し,それぞれの撮影画像のピントが合っている部分を合成することで標本全体にピントが合っている写真を得る手法があります.これが「深度合成」(Focus stacking)という技術です(焦点合成ともいいます).


F11で撮影(1枚のみ撮影)

F11で撮影(25枚撮影後,深度合成)

深度合成を行うためには,カメラを十分に固定し,ピントを一定量ずつ移動させながら順に撮影する必要があります.レンズのピントリングを手動で一定量ずつ回しながら撮影する,カメラまたは標本をステージに固定し,ピントを固定した状態でステージを少しずつ前進(後進)させる方法などがあります.


近年のデジタルカメラには,ピントを一定量ずつ移動させながら順に撮影する機能があらかじめ備わっていることもあります(「フォーカスシフト撮影」等の名称がついています).

※フォーカスシフト撮影機能はレンズがAF駆動できることが前提となります.MFレンズでは物理的に不可能です.なおNikonの場合,AFレンズであっても使用制限がある場合があります.事前によく確認しておくことが必要です.


ピントの移動量が大きいほど撮影枚数は少なくて済みますが,ピントの移動量を大きくしすぎると,ピントが十分に合っていない領域が残る場合があります.「絞り値(被写界深度)」「ピント移動量」「撮影枚数」の3点は互いに影響するので,よくテストを行い,ある程度余裕のある設定で撮影することが重要です.


撮影後の写真は別途ソフトウェアを用いて深度合成処理を行います.ソフトウェアにもいくつかの種類があります.当サイトで公開している標本写真の作成には,主に「Affinity Photo」のフォーカス結合機能を使用しています.深度合成専用ソフトとしては「Zerene Stacker」や「Helicon Focus」が有名で,フリーソフトである「CombineZP」もよく使用されます.Photoshopにも深度合成機能があります.カメラの機種によってはカメラ内で深度合成処理ができるものもあります.


CombineZPの使用方法