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接写リングDG-Zの内面反射対策

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Posted: 12 July 2020

DG-Z使用による画質変化


接写リングをレンズとマウントの間に挟み込むことで通常以上の近接撮影を行うことができます.接写リングは光学系を含まない"単なる筒"なので,画質への影響が小さいことが期待できます.

ただ,実際に接写リングを使用すると画質には変化が現れます.以下にZマウント用接写リングVILTROX DG-Zを使用した場合の撮影結果を示します.


Nikon Z6+FTZ+AF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8 G ED DG-Z使用なし

Nikon Z6+FTZ+AF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8 G ED DG-Z(12mm)使用

Nikon Z6+FTZ+AF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8 G ED DG-Z(24mm)使用

Nikon Z6+FTZ+AF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8 G ED DG-Z(12mm+24mm)使用

接写リングの距離が長くなるほど,コントラストが低下した不鮮明な画像になっていることが分かります.

(上記画像は画像の調整をしていませんが,トーンカーブやコントラスト調整を実施すると,気にならない程度にまで抑えることはできます.)


DG-Zと内面反射


マウントアダプター(あるマウントに違うマウントのレンズを取り付けるためのアダプター)は内面反射の影響でコントラスト低下等が見られることがあり,様々な内面反射対策が存在しています.接写リングも構造としてはマウントアダプターと同じなので,同様の対策をすることで画質低下防止が期待できます.

VILTROX DG-Zの内面はこのようになっています.

VILTROX DG-Zの内部の様子

DG-Zの内部には内面反射防止のためと思われる溝が切ってありますが,これだけでは十分ではないように見受けられます.


内面反射防止シートの導入


内面反射防止策には,大きく分けて「内面を塗装する」「植毛布を貼り付ける」という方法があります.塗装ははげやすい,植毛布は埃になりやすい,という理由から,今回は光陽オリエントジャパンの「ファインシャット極」を選択してみました.

光陽オリエントジャパン 「ファインシャット極」

これをDG-Z内部に貼り付けていきます.

貼り付け作業中の様子

シートを貼った面とそうでない面では内面反射の様子が全く異なることが分かります.

DG-Z12mmと24mmの両方にシートを貼り付けました.

貼り付け完了後のDG-Z

ファインシャット極には,貼り付け方向があることに注意が必要です.より効果的に内面反射を防止するためには,光の入射方向に対してファインシャット極の遮光溝の並びが垂直となるように貼り付ける必要があります.

ファインシャット極の貼り付け方向

内面反射防止シートの効果


ファインシャット極を貼り付けたDG-Zで同じ被写体を撮影した結果は次のとおりです.


Nikon Z6+FTZ+AF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8 G ED DG-Z使用なし

Nikon Z6+FTZ+AF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8 G ED DG-Z(12mm)使用

Nikon Z6+FTZ+AF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8 G ED DG-Z(24mm)使用

Nikon Z6+FTZ+AF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8 G ED DG-Z(12mm+24mm)使用

内面反射防止シート貼り付け前に見られたコントラスト低下が大幅に抑えられていることが分かります.

内面反射防止シートの貼り付けは,マウントアダプターだけでなく,接写リングでも有効であることが確認できました.


【参考】FTZの内部


ちなみにNikon純正のマウントアダプターFTZの内部はこのようになっています.


マウントアダプターFTZ内部

内面反射対策と思われるマットな仕上げで,かつ,テーパ状に傾斜が切ってあります.こちらには内面反射防止シートは貼り付けませんでした.